いがぐり史料館

大きな声にかき消されてしまった本当の歴史、真実への探究にご利用ください。主に幕末史に関する史料を掲載していきたいとおもってます。

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奥羽越の同盟

奥羽越の同盟

 五月三日先に会津の歎願及び奥羽列藩歎願の鎮撫総督より拒絶せらるゝや、仙台、米沢両藩これが首唱となり、閏四月二十三日列藩の重臣を白石に会合し、相議していわく、九条総督は会津の謝罪降伏を容れんとしたるに、参謀世良修蔵ら故なくこれを退け、会津侯をもって天地容れるべからずの罪人となす、これ名を王師に借りてその私曲を欲しいままにせんとするものなり、加ふるの荘内のごときは何ら罪状なきに兵を進めて襲撃するは、客年同藩が幕命を奉じて薩邸を討伐したるの怨を報ぜんとするなり、我が輩豈に手を空うして奸賊の残暴を坐視すべけんや、よろしく正義公動により君側を清掃し忠を皇室に尽さゞるべからずと、これにおいて仙台、米沢、盛岡、久保田、津軽、二本松、守山、新庄、八戸、棚倉、相馬、三春、山県、平、松前、福島、本荘、泉、亀田、湯長谷、下手渡、矢島、一ノ関、上ノ山、天童の奥羽二十五藩同盟し、仙台を推して盟主をなし、越えてこの日再び仙台に会合し、太政官へ建白書および盟約を議定調印せり。

 太政官へ建白書
方今王政復古更始一新之御盛業遠土僻郷の奥羽諸藩為臣子者は申上候に不及海隅山中の曖昧の賤民に至迄上下一同御布告之趣奉感服実に上古列聖之御聖徳にも被為踰海外万国と並峙対立之御大業も不日に御成就可被為在海内富卿強万民鼓腹之太平を奉謳歌御儀と遙に奉拝九重感泣仰望不仕者は無御座候尚又京師より鎮撫の皇使参謀等御東下之上は叡慮之御深意親く如奉接玉音真実可奉伺と奉歡欣喜望候処何ぞ図らん九条殿下等仙台御着陣之即日会津追討之先鋒厳急に被仰出御仁恤之御趣意聊も不奉伺列藩伝承愕然万民不知所措手足騒擾動乱可申上様も無御座候来り勅命至厳一刻も猶予可仕様無之仙台始応援之兵共陸続繰出大衆数万に及び既に先鋒は会津口にて及び接戦候処容保儀斯迄奉触天怒候段深く恐入侮悟降伏城外に謹慎罷在封土を被為削伏見誤事重臣之首級を差出候との三ヶ条を以て奉謝罪度旨仙台米沢之両藩へ申出候に付国情委細に探索糺問仕候処聊相違無御座候間歎願書受取両中将添紙を以九条殿下へ奉歎願奥羽列藩陪臣連名之歎願をも差出候処容保儀不可容天地罪人難被為及御沙汰早々討入可奏成功旨奉伺一同驚歎失望仕候先年長州暴臣於闕下発砲仕候一条実に不憚朝廷一時奉驚天聴候大罪速に朝敵之名を被相下幕府へ追討之命被仰出候処暴挙三臣之首級を差出及謝罪其後王政復古之聖運に遭遇仕俄に望外之寛典を奉蒙官位如故即時入京を被差許候次第も有之容保とても伏見之一挙軽率之至とは乍申敢て奉対闕<発砲仕儀にも無御座候長州之罪状と大小軽重如何可有之哉其段は臣子之所可議に無御座候得共右三ヶ条を以て奉謝罪儀強ち不当之妄願とも不奉存然る処尚又不可容天地罪人と御座候ては乍恐公平至当之罪名とも難奉伺奥羽列藩人心の向背如何可有之哉と窃に為朝廷奉痛惜其段九条殿下へ言上之上太政官へ奉伺候外之間敷と衆議一決し一先解兵仕候儀に御座候扨又荘内追討之命卒然と被仰出候は全く鎮撫総督之御真意にも無之参謀大山格之助世良修蔵等宿怨を快く仕度狂暴之之私意に出候歟と万人之所疑にて反覆思慮仕候ても朝敵之跡は聊も不相見追討之命は却て奉累聖徳候も奉恐入候間是又前同様評決之上解兵仕候抑王政復古更始一新之折柄如此奉矯王命一己之私慾を恣に仕候者を其儘被指置掠財貧色残忍強暴無所不至万民塗炭之苦に陥り候ては鎮撫御三卿御仁恤之御誠意少も貫徹不仕実に王政復古大業之防害と相成候は目前に御座候得者被為於太政官候ては疾に右之事実を被為得候御儀と奉存候間天下億兆皆朝廷彼大山之深く被為悪候御処置を拝承仕胸中之疑惑氷解雲霧を開き天日を望候如く奉仰聖徳御親政に悦服仕候様更に一層之御盛挙被為在度奥羽諸藩一統之至願此事に御座候猶前文に奉申上候奥羽列藩早已に奉服王政上下挙て奉輔翼御盛挙之万一維持皇国被為於天朝永く東顧之御憂不被為在様仕度大義至忠天に誓て他念無御座候間会荘二藩寛典之御処置速に被仰出且鎮撫使御下向御仁恤之御盛意も水泡に不罷成候様御挽回専一之御儀と奉存候尚又陪臣僻陋之愚見を以て方今之御急務を奉擬議候は千万恐縮之至奉存候得共徳川氏家名被立下候御儀広大之御活眼被為開官位之高下封土之大小心に叶い無偏無頗旧幕臣等一同感服仕候正大之御処置被為在候はゞ随而奥羽諸藩も安堵如故不動十戈復古之御誠意は蝦夷唐太之辺迄も貫徹流通可仕候哉と奉存候陪臣等不堪感泣之至誠惶々々頓首百拝謹而奉言上候以上


 この建白書は仙台、米沢両藩の士これを携え上京して太政官に提出することに決せり、また同盟条約の本分は左のごとし。

 条約書
今度奥羽列藩会議於仙台、告鎮撫総督府、欲以修盟約、執公平正大之道、同心協力、上尊王室、下撫人民、維持皇国、而安宸襟、仍条例如左。

一 以伸大義于天下為目的、不可小節細行事。

一 如同舟渉海、可以信居、以義動事。

一 若有不慮危急之事、此隣各藩速援救、可報告総督府事。

一 勿負強凌弱、勿計私営利、勿漏泄機事、勿離間同盟。

一 築造城堡、運搬糧食、雖不得止、勿漫令百姓労役不勝愁苦。

一 大事件列藩集議、可帰公平之旨、細微則可随其宜事。

一 通諜他国、或出兵兵隣境、皆可報同盟事。

一 勿殺戮無辜、勿掠奪金穀、凢事渉不義者可加厳刑事。

右之条々於有違背者、則列藩集議、可加厳譴者成。
 慶応四年五月

伊達陸奥守 家来(仙台)但木土佐
上杉弾正大弼 家来(米沢)竹股美作
南部美濃守 家来(盛岡)野々村真澄
佐竹右京大夫 家来(秋田)戸村十太夫
津軽越中守 家来(弘前)山中兵部
丹羽左京大夫 家来(二本松)丹羽一学
松平大学頭 家来(守山)岡田彦左衛門
戸澤中務大夫 家来(新庄)舟生源右衛門
南部遠江守 家来(八戸)吉岡左膳
阿部美濃守 家来(棚倉)梅村角兵衛
相馬因幡守 家来(中村)相馬靱負
秋田万之助 家来(三春)秋田帯刀
水野真次郎 家来(山県)水野三郎右衛門
安藤理三郎 家来(平)三田八弥
松前志摩守 家来(松前)下国弾正
板倉甲斐守 家来(福島)池田権左衛門
六郷兵庫頭 家来(本庄)六郷大学
本多能登守 家来(泉)石井武右衛門
岩城左京大夫 家来(亀田)大平伊織
内藤長壽丸 家来(湯長谷)池田彦助
立花出雲守 家来(下手渡)屋山外記
生駒大内蔵 家来(八島)椎川嘉籐太
田村右京大夫 家来(一ノ関)佐藤長太夫
松平山城守 家来(上ノ山)渡部五郎左衛門
織田兵部大輔 家来(天童)長井広記
 右連名中上ノ山藩主を藤井とせるものあり、徳川一門の松平家の内には後大給、櫻井などの旧姓に復したるものあれど、この頃上ノ山松平が藤井と称せざるがごとし、また官も伊豆守とせるものあるも、伊豆守はその本家上田松平が任ぜらるゝ例なるにより、武鑑により改む。


 奥羽列藩同盟の成るや、米沢藩より更に越後諸藩に遊説通知したるに、新発田藩主溝口誠之進、村上藩主内藤紀伊守、村松藩主堀右京亮、三根山藩主牧野伊勢守、長岡藩主牧野備中守、黒川藩主柳澤伊勢守は大にその趣意を賛成して加盟したるを以て、奥羽同盟にその範囲を拡張して奥羽越の攻守同盟となりたり、これにおいて仙米両藩は我が藩に告げていわく、今回同盟の約を訂する所以は、列藩合従して義兵を挙げ、以て君側の奸を掃ひ海内の乱を鎮めんとするに在り、決して幕府を回復し貴藩を援助するがごとき私情に出づるにあらず、宜しくこの旨を領せらるべしと、梶原平馬これに答えていわく、老寡君夙に勤王の志厚く決して王師に坑するものにあらざるは固より言うを要せず、また少しも幕府を回復するの意なし、唯君側の姦を払わんことを欲し、不幸にして事ここに至れり、あえて貴藩を領すと。
 五月四日東軍更に戦略を議し、朱雀三番士中隊中隊頭上田八郎右衛門一中隊、小池帯刀土工兵百余人を率いて太平方面に陣し、総督西郷頼母は二番歩兵隊頭高橋権太輔、朱雀四番寄合組中隊頭木本内蔵之丞、会義隊頭野田進、青龍一番足軽隊中隊頭杉田兵庫、誠志隊頭坂平三郎等の兵を率いて上小屋(岩瀬郡大屋村の字なり)に陣し、大平口には羽太村(西白河郡西郷村の大字なり)を本営とし米村逢隈川に沿うて守備を厳にし、仙台方面には仙台藩増田歴治、二本松藩丹羽丹後、義集大隊頭辰野源左衛門、同隊一番小隊頭望月新平、二番小隊頭国府辰次郎、三番小隊頭諏訪豊四郎、四番小隊頭諏訪左内、五番小隊頭小櫃弥市、六番小隊頭黒河内友次郎、七番小隊頭今泉伝之助、八番小隊頭井口源吾等各兵を率いて矢吹に陣す、朱雀一番士中隊中隊頭小森一貫齋、青龍一番寄合隊中隊頭木村兵庫、純義隊宮川六郎、および相馬、棚倉の兵は金山(西白河郡金山村にて棚倉街道に在り)方面に陣して進撃の令下るを待つ、仙台街道には和田山泉田(泉田は小田川村の字なり)に壘柵を設け、仙台の将中島兵衛之助、上新城(西白河郡信夫村の大字なり)に本営を置き、愛宕山八幡台に守兵を出し、刎石、二枚橋(この二ヶ所は上小屋付近に在り)の要衝には上小屋の我が本営より衛兵二小隊を出して交代せしむ。
 五月五日仙台藩相坂英力は須賀川に来り令を諸隊に伝ふ。






卷五 東方の戦下  会津戊辰戦史1
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  1. 2013/02/01(金) 10:54:10|
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