いがぐり史料館

大きな声にかき消されてしまった本当の歴史、真実への探究にご利用ください。主に幕末史に関する史料を掲載していきたいとおもってます。

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南門の戦

南門の戦
 
 未の刻西兵三十人許城皆湯川の右岸天神橋畔柳樹の下に在りて銃撃す、南門の守兵馳せてこれを本丸に報ず、すなわち令を城中に下していわく、老壮を論ぜず文武の職を問はず直ちに黒金門に集るべしと、衆皆馳せ集まりて勢列す、二公これに臨み梶原平馬をして南門進撃の命を伝えしめていわく、士分は物頭席と為し、士分以下の輩は黒紐と為すと〔若松記、石黒則賢筆記〕、衆皆感激して拝辞したるが意気天を衝くの概あり、小室金吾左衛門これを率い、武井柯亭、入江庄兵衛、和田伝蔵これが副将たり、浅羽忠之助もまた来り属す〔若松記〕、全員八九十人分ちて二列縦隊と為し、廊下橋を渡り二ノ丸を経て三ノ丸に至る、西軍乱射飛丸樹梢を掠めて来る、時に軍監石黒恒松西兵の城内に侵入したるやを疑い、数人と共に三ノ丸南門を出て東照宮の石垣の転角に沿うて偵察す、西兵は城外より射撃するのみ〔石黒則賢筆記〕、衆馳せて南門に至り門を開いて一斉に吶喊し槍を揮って突出す、西兵乱射したるも我が兵奪い進む、長州の将高須梅三郎衆を励ましていわく、安藤市蔵等の技術は我これを知れり決して畏るゝに足らずと、これより先、長州人槍術を我が藩志賀小太郎に学び、爾来両藩士互いに往来して槍術を連摩したるが、高須と安藤とは当時同門なりき、この戦に高須は我が多くの老武者が槍を執って縦横奮闘その勢当たり難きを見て、特に槍術の名手安藤の名を呼び、彼といえども恐るゝに足らずと称し以て味方の勇気を鼓舞せるなり、しかるに高須の虚声もその効なく、西軍ついに大に崩れ湯川を渉りて敗走し、淨松寺の墓石に據りて射撃する者あり、また河中に止まりて射撃する者あり、山田伴助槍を揮い先登して死す〔石黒則賢筆記、続国史略後篇〕。

 我が公六七人豊岡社を守る、西軍湯川を隔て連射せるが何分兵寡く防ぐを得ず、守兵鹿目幸之助、齋藤幸助馳せて黒金門に至り西郷頼母に援を乞う、頼母いわく、汝らの言察するに堪えたりといえども応援の兵なきを如何せん、汝ら奔走してこれを集めよと、二人君前において進撃嚮導を命ぜらる、奥番中田常太郎もまた奔走走力を尽くしたれば集まる者数十人におよび、山浦鐡四郎をしてこれに将たらしむ、この時鐡四郎槍を療して大書院に在りしが、命を奉じて衆と共に二公に謁す、二公侍臣をして一同に酒を賜う、衆皆欣舞して一死君恩に報いんことを期して拝辞す、廊下橋に至り隊伍を整へ豊岡社に赴き南門進撃の兵と合して奮戦す、入江庄兵衛、和田伝蔵等戦没したる者二十九人なお戦を息めず、我が公これを聞き急に梶原平馬をして兵を収めしめ、火を延壽寺、豊岡社に縦ちて西兵をして據る所なからしむ、二公は小室等を召し見て厚く慰労し、再び城南の進撃を命ず、小室等すなわち南門を出て兵を延壽寺の前に整へ、吶喊して西兵を走らし、勢に乗じ兵を二分して小室隊は文明寺前より山浦隊は竪町より追撃せんとす、たまたま文明寺前の兵燹盛んにして進むこと能はず、路を転じて湯川に沿うて下りたるが西兵はすでに敗走す、これにおいて小室隊、山浦隊は漆原に集合し、花畑口より郭内に入り米代一ノ丁より諏訪通を経て本一ノ丁を探索す、時に酉の下刻を過ぐ、たまたま陰霧濛々として人影を弁せず、偶然西兵と逢い追撃す、西兵本二ノ丁の転角より射撃し、我が兵は大町通本一ノ丁の転角堀邸より射撃して戦う、山浦鐡四郎令していわく、槍隊は堀邸に入りて敵の背後を衝くべしと、槍隊直ちに邸門を破り槍を揮って突撃す、西兵走りて大町通に出づ、銃手これを撃攘す、槍隊は尚進んで北原邸に入る、屯集の西兵狼狽して走る、我が兵機に乗じ吶喊してこれを撃つ、他の西兵これを聞いてすなわち西方に起こる、我が兵支ふる能はず退いて本一ノ丁に出づ、西兵は本一ノ丁の西方と大町通の北方とより連射す、野村源次郎(進撃隊物頭席)大町通に戦死し、富田三郎傷を被る、我が軍兵を御用屋敷に収む、西兵ますます来り迫る、衆寡敵せず火を御用屋敷に縦ち西出丸より入らんとす、城兵の為に敵兵と誤り認められて射撃する所と為り、辛うじて城に入り黒金門に集合す、二公将士を召し見て戦功を賞す〔若松記、七年史〕。

 この日、日新館兵燹に罹る、これより先、病院を日新館内に設け傷兵を収容したるが、城兵敵の此処に據らんことを恐れ、西出丸より火葥を射てこれを焼く、傷兵歩することを得る者は城に入り、歩する能はざる者は自尽す〔若松記、続国史略後篇〕。






卷八 会津城下の戦 其一 自八月十九日 至八月二十四日
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  1. 2013/04/03(水) 12:38:51|
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