いがぐり史料館

大きな声にかき消されてしまった本当の歴史、真実への探究にご利用ください。主に幕末史に関する史料を掲載していきたいとおもってます。

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一  文久四年正月【注一】     『京都守護職始末2』

 将軍大阪に入る     文久四年(二月元治と改元した)正月四日、わが公は参内して、新正を賀し奉り、物を献上した。竜顔を拝するなど、去年の例の通りである。八日、将軍家が海路を西上し、大阪に入った。わが公はあらかじめ家老神保利孝(内蔵助)に兵を授けて、これを出迎え、また守衛に備えさせた。
 十二日、関白二条斉敬公が書面をもって、わが公と総裁職松平直克朝臣、老中水野忠精朝臣に勅旨を伝えて、将軍が本城の火災【注二】にかかわらず再度の上洛、劬労(くろう)のほど、深く叡感あらせられるところである、今や天下の形勢、安危の決するところであるから、それぞれよろしく公武一和に力を尽し、去年の春の如く倉卒と東へ帰ることなどないように、とあったが、山内豊信朝臣、伊達宗城朝臣らに伝えるところも同様であった。

 



 島津久光叙任     十三日、朝廷は島津久光を参与【注三】とし、左近衛権少将四位下に叙任された。
 はじめ久光朝臣は、その兄斉彬朝臣の遺命を受けて【注四】、薩摩の藩政を摂し、威名がようやく世にきこえてきた。文久二年、藩主に代って上京しようとしたとき、浮浪の徒が途中待ち受けていて、盟主に推しあげ、朝廷に迫って攘夷の旗を挙げようとした。久光朝臣は、攘夷の不可能なことを知っているので、目下の急務は、公武が一つになり、おもむろに国力を養成して外国に当るほかはないと考え、浮浪の徒の言うことなど採るに足らない迂言とした。京都に着くなり、早速家臣若干名を伏見にやって、浪士らをとりしずめさせたが、彼等がなお服さないので、遂に寺田屋の変【注五】となった。このことから名声が一時に隆々として、朝野に喧伝した。つづいて勅使護衛の任【注六】で江戸に下り、大いに尽すところがあった。そこで、朝議でその功を賞し、官位を授ける内命があったが、久光朝臣は、固辞してお受けしなかった。去年八月十八日の挙【注七】の前後、薩摩藩士の功がすこぶる多かったというので、ここに至って、遂にこの恩命があったわけである。

 



 御料の輿を賜う     十五日、将軍家が上洛して二条城に入った。たまたまその時、わが公は病気で出歩きができなかったので、重臣をやって迎えさせた。
 十六日、勅使野宮定功卿が二条城に出向いて、将軍家の入京を賀し、特に御料の板輿を賜わり、恩詔はなはだ渥(あつ)かった。わが公はかつて将軍上洛に至るまでに尽すところがあったので、このことを聞いて、感喜のあまり流涕するにいたった。この日、在京の諸侯はことごとく登上して、入京を賀した。わが公は病気のため、重臣が代って賀を述べた。
 十八日、将軍家から小姓頭野田下総守をつかわされ、至渥の台命をつたえて、わが公の病を見舞われ、菓子を賜うた。
 二十日、勅使がふたたび二条城に臨んで、将軍家を右大臣に昇せた。





 【注】 

【一 文久四年正月】 この見出しは原著にないものである。他との釣合いを考え、便宜上つけた。

【二 本城の火災】 文久三年十一月、江戸城本丸、二の丸が焼失した。一巻二三〇頁注三を見よ。

【三 参与】 参豫のこと。一巻二三〇頁注五を見よ。

【四 斉彬朝臣の遺命を受けて】 嘉永二年薩州藩主島津斉興のあとつぎをめぐって、二派の藩士がはげしく抗争するお家騒動がおこった。改革派は、世子斉彬を擁し、他の派は、斉興の愛妾お由羅が生んだ久光をたてた。これを高崎崩れ、またはお由羅騒動という。のち斉彬が襲封したが、安政五年斉彬が死ぬ時、藩内和平のため、遺命によって久光の子茂久が藩主となった。

【五 寺田屋の変】 一巻一八頁注四を見よ。

【六 勅使護衛の任】 文久二年久光が勅使大原重徳を護って、江戸に下ったこと。一巻一四頁を見よ。    

【七 去年八月十八日の挙】 文久三年八月十八日の政変。一巻一九三頁を見よ。

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  1. 2012/11/09(金) 10:29:32|
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