いがぐり史料館

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神保修理の刑死

神保修理の刑死

 二月十三日我が藩神保修理を三田邸に檻送し使を賜う、これより先き修理は慶喜公および我が公、定敬朝臣の後を追い、浅野忠之助と共に路を東海道に取り江戸に下る、我が将士修理が大阪城中に在らざるを見て罵りていわく、内府公の我が公および桑名侯等を要し、全軍を捨てゝ密かに東下せらるゝはこれ修理が上言を信じてならん、ゆえに彼もまた逃る、顧ふに修理は西藩の人士に相識多ければ、西軍に通じたるもまた知るべからず、早くこれを斬らざりしを恨むと、修理は開陽艦に後るゝこと三日にして江戸に帰る、当時勝安芳に答ふるの書あり。

華書被成下奉拝誦候于今春寒料峭御座候処先以て御安健奉拝賀候老寡君へ御別紙被成下且過日も御書被遺深重之尊慮乍憚実に泣血の至りにて重々御同意奉存候乍不及是非其処に微力見据徹底不仕候ては万事苟且何事も決て不行結局外国呑噬を受候時勢深く御同情奉存候是非此中拝謁貴慮相伺度存居候処趣々用向差湊一日一日相後れ今日は是非出立不致候半ては不叶事に相成背本意残懐奉存候扨々不思議の時勢長息泣血の至に御座候書不盡言一応の御受のみ奉呈寸楮候故御判読可被下候拝復
  修理


 後我が将士等の大阪より江戸に帰るに及びいよいよ沸騰し、我が公および藩相に迫りていわく、伏見戦争の兵機を阻害し、今日に至らしめたるは皆彼が罪なり、かの奸賊を誅戮せざるべからずと、過激の壮士等相共に修理を刺さんとするに至る、我が公は修理がその害に遭はんことを慮りて国に帰るを止め、和田倉邸に幽囚す、時に勝安芳これを聞きその禍に罹らんことを察し、慶喜公に告げ公命を以て修理を召さんとするや、壮士等この事を聞き更に紛擾しその処決を促して止まず、修理また幽室中よりしばしば書を示して審問を求むれども省せられず、この日をもって三田邸に檻送せられ遂に死を賜う、死に臨みて従よう左右を顧みていわく、余固より罪なし、しかれども君命を奉ずるは臣の分なりと、剣に伏して斃る、その死する前日一詩を紙上に書して密かに人に托して安芳に贈れり。

一死元甘、雖然向後奸邪得時、忠良失志、則我国再興難期、君等努力報国家、真僕所願也。

 生死報君何足愁、人臣節義斃而休、遺言後世弔吾者、請見岳飛有罪不。


 時に年三十、芝白金三光町興襌寺に葬る、絶命の和歌にいわく、

帰り来ん時よと親のおもうころ、

 果敢なきたより聞くべかりけり。


 江原素六いわく、神保修理は年齢資望余か上に在り、平生親交あり、戊辰の正月六日敗報しきりに大阪城に達するの際城中にて修理に逢う、修理いわく、敗軍このごときに至りては、内府公に速やかに東帰せらるゝの勝れるにしかず、大阪城に據りて戦うがごときは策の得たるものにあらずと、余もまた大にその説を賛成したり、余は修理と別れ、橋本に至りて防戦したりしが、修理が果たしてこの説を内府公に上言したるや否やを知らずと、あるいはいわく、修理は慶喜公以下の東帰を聞きて大に驚き、藩相田中土佐に謀りていわく、内府公の東帰その機にあらず、却って後害あらんことを恐る、急に馳せて諌止するにしかずと、土佐これを賛す、修理すなわち単騎鞭を挙げて兵庫に至れば、開陽艦すでに抜錨したるの後にして及ばざりきと、あるいは修理は怯懦なるが故に内府公の東帰を勧め己もまた遁れたりと、惜しいや文獻の徴すべきものなく、その真相を詳にする能はず、ただ内府公東帰の発議者として壮士の嗷々たるとき、修理が一言もこれに対して弁解せざりしことゝ、後年に至り江原氏の話を総合すれば、修理が内府公に東帰を献策したるは疑いなきがごとし、彼が西軍に通ぜしとか、あるいは怯懦なるが故に東帰を献策せしと云うがごときは採るに足らざるなり。
 ニ月十五日我が公、京師、鳥羽、淀、八幡に戦いたる兵士およびフランス兵式練習を命ぜられたる隊士を和田倉邸内馬場に召見す、申の下刻より集合す、首座は戦争に従い且つ練習を命ぜられたる者、次座は戦争に従い練習を命ぜられざる者、三座は戦争に従わずして練習を命ぜられたる者なり、時に日すでに闇く、大提燈数個を点じ、我が公自ら臨みて慰労していわく、先日汝らの奮戦感称するに堪えず、しかるに内府公俄かに東下せらる、予はその前途を憂い公に従って東下したり、これを全体に告げざりしは予大にこれを慚づ、家を慶徳に譲り必ず恢復せざるべからず、汝ら皆一致勉励して能くこれを助けよ、予篤く汝らに依頼すと、隊士皆叩頭感泣す、すでにして酒を賜うていわく、時春寒に属す宜しく過飲すべしと、隊士歓喜す。






卷三 江戸近邦の形勢  会津戊辰戦史1
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テーマ:歴史関係書籍覚書 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2012/12/14(金) 11:38:32|
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